2013年3月29日金曜日

絵本 『ぶたのしあわせ』


















今朝、雪のように花びらが降るのを見て、
花の楽しめる時期の短さに
さびしさを感じながら歩いてきました。
場所のよっては桜の花の香りがします。

桜は散り始めましたが、
たくさんの草木たちが準備をし、
つぎつぎと花を咲かせ、
まだしばらくは春の楽しみが続くでしょう。

今回は春の野原を思わせる布団をかけて
満足げな2匹のぶたが表紙の
『ぶたのしあわせ』をご紹介しましょう。


















ヘレン・オクセンバリーが物語も絵も描いた作品です。

2匹の憂鬱なぶたの話なのですが、
ぶたたちの広々した農園。
やわらかそうな草の野原。
木にも草にも花が咲き、
空には太陽が輝き、
のどかな春の景色です。

2匹は気ままに暮らしていたのですが、
お金や服、車、家にあこがれていたのです。
いざ大金を手に入れ、
思い描いた通りの生活を手に入れた2匹は・・・。

最初のページの
ぐちばかりの憂鬱なぶたたちの表情と
最後のページの
本物のぶたの暮らしを見つけた2匹のしあわせそうな寝顔。

それぞれに相応はしあわせとは何なのでしょう?
と、考えさせられるお話です。


『ぶたのしあわせ』
ヘレン・オクセンバリー 作
矢川澄子 訳
文化出版局 発行
1974年 第1版発行
1991年 第9版
¥1,200

2013年3月27日水曜日

雨、呑川の桜。 絵本『き』の紹介。



今朝、呑川沿いを歩いていると、
雨がふって寒く、
週末の人出が嘘のように静かで
すれ違う人もあまりいません。

桜の花は水を含み下を向いていました。
時折、花びらが落ちますが
まだ散ってしまうほどではありません。
しっとりした雨の日のお花見は
賑やかさもなく
花の色も落ち着いてなかなかいいものだと思います。

き (至光社国際版絵本)
今日は『き』という絵本をご紹介します。
谷川俊太郎さんが詩を
堀 文子さんが絵を描いています。
諸井 誠さんが曲を付け楽譜がついています。

表紙の木は桜でしょうか?
絵本というより
木のスケッチと水彩画の画集のような本です。

いっぽんの きが ある
わたしの うちの にわに
わたしの うまれる ずっと まえから

で、始まります。
いつも見守ってくれている木。
1月の冬景色から花の季節、
夏の木洩れ日、
木の実のおちる秋、
そして12月までの移り変わりが
デッサンと美しい色彩の絵になっています。
木の好きな方にはおすすめの1冊です。

『き』
谷川俊太郎 詩
堀 文子 絵
諸井 誠 曲
至光社 発行
1968年初版
第6刷
¥800
(楽譜冊子付き)



2013年3月26日火曜日

椿にヤマブキ

寒い一日でした。
ときどき雨が降っていましたが、
満開の桜は、まだ大丈夫なようです。
今年の桜、なんだか白っぽいように思いませんか?

庭のバイモは背が高くなりすぎ、そろそろ終わりです。
倒れかけたバイモの陰にスミレが咲き始めました。


















桜も早く咲きましたが、
他の花も早いですね。
もう椿がたくさん咲いています。


















 昔から庭にあった椿。
品のいいうっすらピンクの花で
何種類かある椿のなかで
いちばん大切にされている木でした。
今年は花が多くて、
塀の方を向いて咲いている花は切り花にして楽しめます。
花の少ない年は切ってしまうのがかわいそうで
遠慮してしまいますから。

何日か前からヤマブキも咲き始めました。
















2013年3月23日土曜日

呑川のお花見のついでに

呑川の桜はもう満開です。
日曜日は雨が降るそうですから、
お花見は今日がいちばんかもしれません。

呑川の桜を楽しみながら歩いて
駒沢通りにぶつかったら東へ行ってみて下さい。
日本体育大学と反対の方角へ、です。
そこにBOOKS144はあります。

本、絵本、雑貨、山羊革工芸品。
版画、手摺り木版画絵葉書。
ドライフルーツ、紅茶、ココアなど置いております。

そして、『伊藤卓美 春の花 木版画展』 開催中です。

桜といえば
ソメイヨシノを思いますが、
しだれ桜もきれいです。
もう満開を過ぎ、
風が吹くたびに散って
地面に吹きだまりを作っています。













十月桜(冬桜か?)もたくさんの花をさかせています。
冬に咲き、春にも咲き、
今は葉も出てきています。

冬は寒そうに咲いていましたが、
春になりのびのびしてみえます。
花が可憐な感じで
長く楽しませてもらっています。

すれちがう人も上を向いて歩いていました。

2013年3月19日火曜日

みつばちマーヤ


















今朝の呑川の桜です。
一気に咲きました。
今週末は
もう満開になってしまうのではないでしょうか。

BOOKS144までの道を歩いていると、
いつもより時間がかかってしまいます。
桜の咲き具合を見ながら歩いているもので・・・。
さらに道端に小さなナズナの白い花が咲いていたり、
花ニラが電信柱の根元に群れていたり、
どこにあるのか沈丁花の香りが漂ってきたり。
急いで通り過ぎてはもったいない呑川緑道です。

そろそろ虫たちも活動し始めたところで、
『みつばちマーヤ』をご紹介しましょう。


















マーヤと聞くとアニメを思い出される方も多いでしょう。
しかし、この絵本は
馬の毛3本の絵筆を駆使して描くという
熊田千佳慕さんによる
徹底した自然観察に基づいた細密画の
作品集のような大型絵本です。
虫たちの体毛の1本1本から、
植物のおしべの花粉まで感じられるようなリアルさ。
どれくらいの時間をかけて
1枚の絵を仕上げているのでしょうか。
顕微鏡で観察するような目と
限りない根気で
妥協することなく
細かいところまで描かれている絵を
ぜひご覧になってください。

『みつばちマーヤ』
ボンゼルス 原作
横山吉男 文
熊田千佳慕 絵
世界文化社 発行
1996年発行
¥3,000

2013年3月17日日曜日

呑川の桜


 呑川の桜が咲き始めました。

一昨日、BOOKS144へ向かうとき、
つぼみがふくらんで、先がピンク色になり、
もう咲きそうな桜の枝を見ながら歩いていました。
そして帰り道、
薄暗い中で1~2輪、咲いた花を見つけました。

今朝はもう、
あちらこちらの木で花が開いていました。
橋の上から見ると、
重なり合った枝が
冬はくっきり見えましたが、
輪郭が薄れ、
うっすらピンクがかっているような気が・・・。
今年は早いですね。
あっという間に満開になることでしょう。

呑川でお花見を楽しまれたら、
少し足を伸ばして、
BOOKS144を覗いてみてください。
春の花の木版画展を開催中です。
手摺り木版画のポストカードも販売しています。
呑川のお花見記念にいかがでしょう。
1枚¥300です。


2013年3月14日木曜日

春の花 次は・・・

昨日の風の強かったこと!
本は砂まみれになり、
本のラックは風に吹かれて動き、
寺山修二のポスターは剥がれ、
『伊藤卓美 春の花 木版画展』の看板は
倒れそうになり、
店先の柱に括りつけて
何とか難を逃れました。





庭の梅の花は散り、
赤っぽいガクばかりが目立つようになりました。
今年の実の付きはどうでしょう。

バイモの花が開き始めました。
地味な花ですが、
その渋いところがいいのです。
子どものころから庭にあって、
祖母の部屋に飾ってあったのを覚えています。
和室によく似合う花ですね。

山椒も日当たりのいいところは芽が出ています。
小さなかわいい葉。
これもあっという間に大きくなって、
夕食の彩りに使えるようになるでしょう。



2013年3月12日火曜日

『春の花 木版画展』でお花見を

春らしい1日です。
呑川の桜の枝を見ながら
BOOKS144まで歩いてきましたが、
つぼみがふくらんできました。
先っぽがピンクになってきているつぼみもあります。
花が咲き始めるのも近そうです。


今、BOOKS144では、
『伊藤卓美 春の花 木版画展』
開催中です。
花の作品がお店にしっくり合っています。
どれも路地裏や野に咲くような、
派手さのない花ばかり。
真っ赤な薔薇とか牡丹と違って、
さりげなく、目立たないけれど、
でも咲いているのを見かけたときに
ちょっと嬉しくなったり、
ほっとしたりする花だと思います。















ぜひお花見にいらして下さい。
お待ち申し上げております。


2013年3月11日月曜日

春の花 木版画小品展

 朝、BOOKS144まで歩いていると
半そでのTシャツでジョギングの人、
親子で散歩をしている人たち、
暖かい日曜日の朝です。
桜のつぼみがふくらんできました。

道を行く人たちも薄着です。
入口も開けたままでいられます。

と、呑気にしていられたのもお昼まで。
ふと見ると北側の空が黄灰色!
黄砂か、と思っている間にもう砂ぼこりが!
表に出してある本がみんな
砂まみれになってしまいました。
悲しい・・・。
ニュースによると、黄砂ではなく煙霧なんだそうです。
どっちにしてももっと早くに
本たちを店内に避難させるべきでした。















店の版画を掛け替えました。
桜の季節に合わせて、
伊藤卓美さんの木版画の中から
春の花ばかりを17点。
桜は6種類を展示しています。
写真はサイズ195×250mmの『夫婦桜』。
その他には「おおいぬのふぐり」や
「すみれ」「つゆくさ」など野の花を掛けてみました。

東側の窓の上に素朴な花が似合います。
いちばん奥に掛けた「菊咲一花」(きくざきいちげ)まで
暖かい木版画を
ひとつひとつご覧ください。

手摺り木版画の
花のポストカード(¥200~300)も
多数ご用意しております。

明日はまた寒くなるそうですが、
BOOKS144の店内はすっかり春です!

2013年3月9日土曜日

花が次々と















 寒い冬が終わって、
枯れていた庭に
緑の芽が出始めた!と
春を感じてからの
季節の進み方の速いこと!

白梅がひとつふたつ咲き始めた、
と思ったのがついこの間。
あっという間に水仙、福寿草、クロッカス。

今朝、庭に出てみると、
昨日までつぼみだった黄色い水仙が
もう咲き始めました。
庭の枯れ草や、茂った葉を片付けると
クリスマスローズも咲いていました。
















 
 クロッカスはもう萎れ、
白梅は風がなくても絶え間なく散るようになり
バイモの葉先がカールしてきました。

花が次々とリレーのように移っていきます。
それも駆け足で。
ひとつひとつの花をゆっくり楽しみたい。
そんなに急がないで、
もっとのんびり進んで行って、と
春にお願いしたいです。

これからしばらく
庭の楽しみが続きます。

2013年3月8日金曜日

春の庭



すっかり暖かくなりました。

蛙が朝から晩までにぎやかです。
あちこちの茂みでガサガサガサガサ。
夜なぞ、気をつけて歩かないと大変。
落ち葉かと思うと動いてどっきりさせられます。
ガマの鳴き声を聞いたことありますか?
見かけによらず、けっこうかわいいです。

庭では、かなり前から福寿草が咲いていましたが、
今はクロッカスが満開。
いちばんに咲いた水仙はそろそろ盛りをすぎ、
次の水仙たちの葉が元気に伸びてきました。
白梅は風に吹かれると
花びらがちらちらと落ちてくるようになりました。
バイモはそろそろ蕾がつき、
花ニラの葉も増え、そのうち紫の花が開き始めるでしょう。
ニホンサクラソウの芽もたくさん出てきました。
やわらかそうな 毛深い薄緑色の芽。
一時絶滅しそうだったのですが、
根を分けて大事に育てた結果こんなに増えました。
ピンクの花がぐるりと輪になって咲くのが楽しみです。

2013年3月3日日曜日

サイン入り絵本『はるよ こい』

今日は雛祭りです。
曇っていて寒く、春!という感じではありませんが、
今年の桃のお節句は日曜日。
家族そろってお祝いすることができますね。

今日もおひなさまの絵本を。



田舎のおばあさんの家に遊びに来ていたももこに、
蔵の中から出してくれたのは、
おばあさんがお嫁入りの時に持ってきたという
古い立派なお雛さま。
お道具もたくさんあって、
いかにも昔のお雛さまです。
その夜、ももこはお雛さまたちの春を呼ぶ
「春の宴」の音で目を覚まします。
裏庭へ出てみると・・・。

私には田舎がないので、
「田舎のおばあちゃん」というものにあこがれて育ちました。
夏休みや冬休みに、
「田舎に行くんだよ。」という友達の羨ましかったこと!

その田舎に
こういう蔵があったりしたら最高ですね。

卓袱台や、火鉢、臼に杵。
昔の扇風機。
古い木箱。
鉄の引き手の付いた桐箪笥。

挿絵をみていると
昔の祖母の家にあった納戸を思い出します。
そして、白梅の大きな木のある庭に面した、
ひんやり寒いお座敷に飾られている
立派な段飾りのお雛さまも目に浮かびます。
今は祖母の家もお雛さまもなくなってしまいましたが、
この本の見開きページいっぱいに描かれた
7段飾りのお雛さまのようでした。


この『はるよ こい』の絵本は
わたりむつこさんのサイン入りです。

















『はるよ こい』
わたり むつこ 作
ましま せつこ 絵
福音館書店 発行
1987年 初版
2004年 発行
¥3.000

2013年3月2日土曜日

もりのひなまつり

明日は雛祭りですね。

我が家でもお雛さまを飾りました。
私が生まれたときに父が買ってきたお雛さま。
段飾りではなく、ケースに入ったタイプの木目込み人形です。
衣装が日に焼けて色褪せていますが、
こどもの頃から飾ってきたお雛さまです。
私といっしょに飾る人間は変わっていきますが、
薄紙の中からは
ずっと変わらないお雛さまが顔をのぞかせます。

子どもたちが
幼稚園のころに作ったお雛さまもいっしょに並べて、
その一角だけ明るく華やかになっています。

今日は『もりのひなまつり』をご紹介します。

絵本 もりのひなまつりの表紙です

森の近くの家の蔵に住むねずみばあさんのところへ
のねずみこどもかいから
「もりのひなまつりをしたいので
おひなさまをつれてきてください」
という手紙が届きます。
心配顔のねずみばあさんと森へ出かけたおひなさまは、
森の動物たちと歌い踊って
楽しいひなまつりを祝います。
しかし、蔵に戻ったお雛さまはすっかり汚れてしまっていて・・・

髪がみだれ、汚れた顔のお雛さまの絵を見て、
うちの子どもたちはおもしろがったものです。

「だいじょうぶかしらねえ。」と
何事も心配していたねずみばあさんが、
いざとなると、
「だいじょうぶ。だいじょうぶですとも!」と
すべてをうまく片付ける頼もしさ。
なんてすてきなねずみばあさん!

こういうおばあさんになりたい、と思います。

『もりのひなまつり』
こいで やすこ 作
福音館書店 発行
2003年 第9刷
¥400

2013年3月1日金曜日

のはらの ひなまつり

3月です。
3月と聞くと、
穏やかな暖かい日差しと
やわらかなそよ風を連想します。
でも3月初日の今日は、
BOOKS144の店の周りは
ゴウゴウと風が吹き荒れ、
音を聞いていると恐いほどです。
春一番だそうですが、
まるで春の嵐!
枯葉や枯れ芝が飛び、
砂ぼこりが舞い上がり、
表に立ててある本は倒れ、
並べてあるジャンプ傘(¥1050)は飛びそうです。
明日はまた寒くなるんだとか・・・。
春らしい日が待ち遠しいです。

いよいよ、あさってはひなまつり。
今日は絵本『のはらのひなまつり』をご紹介します。

絵本 のはらのひなまつり (えほん・こどもの四季)の表紙です

ともこが紙でおひなさまを作るところから始まります。
きれいに飾ってから見せようと、
あそびに来た猫のみーやにも、
ゆうくんにも見せられません。

急に吹いてきた風に飛ばされた色紙とおひなさま。
どこへ飛んでいったのか、さがしていると、
ねずみたちが、
うさぎたちが、
「たんぽぽのはらのひなまつり
みんなおいでよ」
と、手に手にともこの色紙を持ってかけていきます。

3人も後をついてかけていくと・・・。

そこは、あかるい のはらのおひなまつり。

ねずみの絵をみて、
いわむらかずおさんの挿絵だ、と気付きました。
表紙には漢字で「岩村和朗・絵」とあったのに。

春のたんぽぽの咲く野原の空気。
草のやわらかさ、そこに流れるやさしい風。
ほのぼのとする「おひなさま」の絵本です。

巻末にはひな祭りの由来も書かれています。
さらに最終ページには
「たんぽぽびなの つくりかた」も出ています。
たんぽぽはわかりますが、
ギシギシの葉は見つかるでしょうか。

『のはらのひなまつり』
神沢利子 作
岩村和朗 絵
金の星社 発行
1980年 初版発行
2011年34刷
¥800