この頃、白梅が満開になっていますね。
うぐいすの声はまだ聞きませんが、
メジロが忙しく花から花へと飛び回る姿を見かけます。
今日は『やまのこどもたち』をご紹介しましょう。
初版が1956年ですから、
50年以上昔の
山の子どもたちの1年が描かれています。
石井桃子さんが
宮城県で開墾、農業をしたときの経験からできた
お話だそうです。
挿絵は洋画家の深沢紅子さん。
この方は盛岡出身の方なので、
この絵本は、東北の山に暮らす人たちの生活ですね。
てるちゃんのうちの前の梅の花がまっしろに咲いた
「はるがきた」から始まります。
かやぶきの屋根。
障子の穴からのぞく目。
梅の花をたたいて遊ぶ子どもたち。
それを止めるおばあさん。
「いい子は、ままごとをしてあそぼうよ。」
松林にむしろを敷いてのおままごと。
落ち葉のお皿に梅の花のごはん。
おばあさんが
大きな梅干しののったおにぎりをお皿にのせて
お客に来てくれます。
これが春のエピソードですが、
夏の梨の木から下りられなくなる話。
赤とんぼの群れ飛ぶ、秋の運動会。
冬のお年越しの準備と
炉辺で家族で囲むお年越しのごちそう。
どれも昔の日本の生活が描かれています。
手ぬぐいをかぶったおばあさん。
いつも着物を着て、
針仕事をしたり、
庭の掃除をしたりしていた私の祖母を思い出しました。
みんなが畑へでかけても
家にはおばあさんがいて、
家の仕事をしながら、
子どもたちを見守っている。
そんな昔の3世代の家族が描かれていて、
なつかしく暖かい気持ちになれる本です。
『やまのこどもたち』
石井桃子 文
深沢紅子 絵
岩波書店 発行
1956年第1刷発行
1996年第17刷
¥1,000