2013年5月30日木曜日

しちめんちょうおばさんの こどもたち

しちめんちょうおばさんのこどもたち

今日は
『しちめんちょうおばさんの こどもたち』
という絵本をご紹介します。

油絵の挿絵の色合いがいいです。
強いタッチの残る画面。

春の沼のほとりで見つけた、
持ち主のわからない4個の卵をあたため、
孵ったヒナを育てるしちめんちょうおばさん。

育つにつれ、
泳げる、飛べる、
おばさんとは違ってきた子どもたちを
「私の子どもだ。」と 育てます。

おなかの下に子どもたちを眠らせる
おばさんの力強い背中。

りっぱに羽根も生え、
南の国へ飛んでいこう、と誘う子どもたちに
(子どもたちは実はマガモだったのです)
「私は行けないよ。
でもおまえたちはもう一人前のマガモなんだから、
仲間といっしょにお行き。
来年の春にはきっとここに帰ってきて、
旅の話をうんと聞かせておくれ」
と言います。

夕方に旅立って行ったこどもたちを
じっと見送るおばさんのたたずむシルエット。

この濃いブルーの場面に
おばさんの心情を思い、
また、見事に子どもたちを巣立たせた姿に
なんて立派な母、と感心せずにはいられません。

『しちめんちょうおばさんの こどもたち』
吉野公章 さく 
おのきがく え
1974年 発行
1994年 こどものとも 特製版 
福音館書店
¥1,000

2013年5月29日水曜日

スズメの子育て















時々、雨が降ってくる曇り空。
梅雨らしいどんよりした天候です。

いつもベランダにパン屑を食べに来るスズメたちが
ここのところ、パンをくちばしで小さくほぐし、
それをいくつかまとめてくわえると
一目散に飛んでいっていました。
何羽かのスズメたちが
繰り返しやって来ては
それぞれの方向に飛んで行く毎日でした。

一週間ほど前から、
子スズメを連れて来るようになりました。

にぎやかに鳴き、
翼を震わせて餌をねだる
寝ぼけた茶色の、子スズメ。
大きさは親鳥とあまり変わらないのに
顔の黒斑がまだ薄く、
くちばしの脇も黄色くて
とても幼く、かわいいです。

大きく口を開いて
餌をもらっている子が、
親が餌を集めに行ってしまうと
足元に落ちているパン屑を
ひとりで食べているのが微笑ましいです。

親は子どもが見えなくなると、
口いっぱいにパンをくわえたまま、
お隣の屋根、向こうの木と飛び回り、
子どもを捜しながら
くぐもった声で呼びます。

いつも親といっしょのヒナも
気づくと幼さが抜けて
一羽で来るようになります。
立派に若鳥になり
だんだんスズメらしくなって
もう親がどれかもわからなくなります。

見事な親離れ、子離れ。

毎年、この時期はスズメを眺めて
時間が過ぎてしまい、
家事がはかどりません。

2013年5月22日水曜日

緑の濃くなる季節


















国道246から呑川に沿って歩いてくると
途中まで川に黄菖蒲が群生しています。
少し紫の菖蒲もありますが、
ほとんどが黄色い花でいっぱいです。

春は桜。
5月は菖蒲。
木陰をつくる葉の濃い緑。

いい散歩道ですね。


















春先から
次から次へとバトンタッチされていった庭の花も
そろそろコバノズイナで終わりです。

目を楽しませてくれた若葉も、
しっかりと茂り、
雨に濡れた緑はきれいですが、
庭はうっそうとした感じになりました。

いくら切ってもどんどん伸びる山吹や桑。
今年は桑の実がたくさん生っています。
子どものころ、
通学路に桑の木がたくさんあって
帰りにみんなで摘んでは食べました。
うちの子たちも食べていたそうで、
昔も今も、子どもは同じことをしていますね。

2013年5月20日月曜日

絵本 『はちうえは ぼくにまかせて』


この頃、花の話ばかり続きました。
今回は絵本『はちうえは ぼくにまかせて』をご紹介します。

鉢植えの世話がじょうずなトミーのお話です。

おとうさんの仕事の関係で
夏休みにどこへも行けないトミーは
バカンスに出かける人たちの鉢植えを
ひとつ1日2セントで預かることにします。
鉢植えに囲まれての生活に
ぶつくさ言うおとうさん。
黙って見守るおかあさん。

預かった植物を懸命に世話するトミー。
水やりだって
サボテンにはスポイトを使う細やかさ。
伸びすぎたところを刈り込み、
剪定した枝を小さい鉢に植え、育てるトミー。

夏休みがおわるころ
鉢植えを取りにきた人たちに喜ばれ、
小さい鉢植えをもらった子どもたちにも喜ばれます。

さて、植木鉢がすっかりなくなった家で・・・

『どろんこハリー』のコンビによる
黄色と青、それが合わさった緑と
ソフトな線の
美しい絵本です。

『はちうえは ぼくにまかせて』
ジーン・ジオン 作
マーガレット・ブロイ・グレアム 絵
もり ひさし 訳
ペンギン社 発行
1981年初版
1997年14刷
¥700

昨日のコバノズイナですが、
挿し木で増やせるそうです。
トミーのように
剪定した枝を挿しておくだけ。
素人でも簡単にでき、
しかもすぐに花を付ける
丈夫で育てやすい植物だということです。

2013年5月19日日曜日

コバノズイナの花















12月に紅葉の写真をのせた
コバナズイナの花が見ごろです。
小さい花がブラシのように集合した白い房が
爽やかです。














今年も気付けば、
緑になった庭で
主張せず
風に揺れていました。
葉陰の奥に咲いている花を切ってきて
ガラス瓶に挿して楽しんでいます。

強い植物で
花が終わってもそのままにしておくと
根が出てきます。
挿し木で増やせそうですね。

2013年5月15日水曜日

オールドローズ














ここのところ
あちらこちらのお庭に
薔薇の咲いているのをながめながら歩いています。

白の一重のつる薔薇が垣根になっているお宅。
不思議なスモーキーな紫の薔薇。
大輪の花が豪華に咲き乱れるお庭。

薔薇とはあまり縁がなく、
子供のころ、
庭の片隅に一本だけあった記憶があります。
ピンクだったか・・・。
どなたかに苗でもいただいたのか・・・。
手をかけてやらなかったらしく
いつの間にか消えてしまいました。

父好みの日本の花ばかりの庭を見て育ったせいか、
薔薇というと豪華で派手なイメージしかありませんでした。
思い浮かぶのは、真っ赤な薔薇の花束。
ピンクや白の原色の花。

写真で見るオールドローズも
八重で重い感じがして
あまり興味を持ちませんでした。
花は一重が好きなものですから。

しかし先日、
おいしいダージリンを頂きながら
すてきな薔薇を拝見する機会にめぐまれ、
その香りと花の色に
すっかり魅了されました。

頂いた薔薇を花瓶に挿し
楽しんでいます。
この色!
原色の薔薇の印象が覆された一日でした。


















BOOKS144には
薔薇に関する本が何冊もあります。
『オールドローズ ガーデン』
『バラの園を夢見て』
『オールドローズと英国式ガーデン』
『マダム高木の薔薇ものがたり』
『ガーデニング大好き!オールドローズ』
『はじめてのバラ』
『はじめよう!バラ作り』
『バラはだんぜん無農薬』

その他にもガーデニングの本や
洋書の花の写真集など並んでおりますので
ぜひお立ち寄りください。

2013年5月12日日曜日

カルミア


















カルミアをご存じでしょうか。
コンペイトウのような形をしたかわいいつぼみ。
小さいつぼみはピンクが濃く、
ふくらんでくるほど白っぽくなります。
花は5角形の皿形で、
雄しべの先は花弁のくぼみに付いていて
何だか傘の骨のように見えますね。


















これも子どものころから身近な木です。
昔、家の門の正面に
高さ2メートル以上のカルミアがありました。
昔はあれほどの大きなカルミアは珍しかったようです。
父が大切にしていました。

上にナンキンハゼの大木が葉を広げていたので
半日陰を好むカルミアは元気に、
毎年たくさんの花を咲かせてくれました。
花が少しネバネバして、
枯れても茶色くなり付いたままなので
脚立に登って切り取ったものです。

庭がなくなるとき
この木はある公園へ移植されていきました。
一度見に行ったことがありましたが、
今でもまだ枯れずにいるでしょうか。

今の庭にも苗木を買って植えました。
毎年、だんだん大きくなり花も多かったのに、
今年は何だか元気がなくて
花も少しだけで心配です。
こんな時はどうしたらいいのでしょうか。

2013年5月10日金曜日

ジャスミン


















窓を開けると
ジャスミンのかおりが強く漂ってきます。
この季節、外を歩いていると
姿は見えなくても
近くで咲いているな、とわかります。

我が家にもジャスミンの茂みができていて
増えすぎないように気をつけていますが
すばらしい生命力で
うっかりしていると庭中にはびこりそうです。

強すぎる香りと勢いのジャスミンですが、
ひとつひとつの花はとても可憐。
つぼみの付き方も形がよく、
一房だけ瓶に挿して楽しんでいます。












 


















ジャスミンは初夏の花ですが、
木版画向きの花ではないらしく、
伊藤卓美 初夏の花木版画展の中にはありません。
この花を見ていると、
私がエッチングの小品で
黒い背景に浮かぶ白い花を
制作してみたらいいかもしれない、と思います。


















この我が家のジャスミン、
本当はカロライナ・ジャスミンを
入口あたりに絡ませたくて植えたのです。
今やハゴロモジャスミンに負けて
わずかに黄色い花を咲かせています。

2013年5月9日木曜日

アルフォンス・ミュシャの画集

Alphonse Mucha (Masterworks)
BOOKS144の店先の塀際に
新たに棚を置きました。
それに伴い、
今まで店内の隅の棚に追いやられていた
画集や図録たちも
日の目を見ることとなりました。
しかし、日に焼けては困るので、
毎日何冊かずつ選んで
お見せしていきたいと思います。

その中にミュシャの画集
『 Alphonse Mucha (Masterworks) 』があります。
女性が膝に画帳を開きこちらを見つめている
「夢想」というリトグラフが表紙の
一辺が30cm弱の美しい大型の本です。

以前、上野の都美術館でのミュシャ展を見に行きました。
若いころグラフィックデザインに
多少関わっていた身としては
本物が見られて感激でした。
印刷物でしか見たことのなかった作品は
大きく美しく圧倒されましたが、
何より人の多さに疲れて帰ってきました。

いま六本木でミュシャ展が開かれています。
20万人を突破したとか・・・。
「ミュシャが好き」という方は多いですものね。

ぜひこちらの画集もご覧ください。

 『 Alphonse Mucha (Masterworks) 』
洋書(英語)
¥2,300



2013年5月8日水曜日

庭のある家














午後から風が強く、
道には折れた枝や若葉が落ち、
花がちぎれそうに大きくゆれていました。
5月になり花も移り変わって、
呑川には今、菖蒲が咲いています。
ほとんどが黄色ですが、紫の花も見ることができます。

歩いていていろいろなお庭が見えるのは楽しいものです。
昔から長く住んでいるお宅は南側に庭があります。
ケヤキなどの大きな木が生えていたり
季節ごとに花の咲く木、実をつける木が植えられていて。
シダやスミレなどの草、苔が覆った地面。

昔の家の庭を思い出させます。

だんだんそういう庭のあるお家が少なくなりました。
1軒の敷地に何軒もの家が建ち、
昔からあった庭がつぶされ、
木が切られ更地になり、
全てがなくなってしまうのは残念です。
我が家の庭がなくなるとき、
たくさんの木が切られるのを見ていて、
とても悲しかったのを思い出します。

うちの木ではありませんが、
切られたケヤキにも葉が出ました。
少しホッとします。










2013年5月3日金曜日

初夏の花
























桜草がおわり、
庭には今、白い花が多く咲いています。

ユキヤナギやシダの陰には
スズランがかわいい花をつけています。
シャリンバイ、卯の花、シラユキゲシ。
どれも昔から庭にあった馴染み深い花ばかりです。
今年の黄エビネは残念ながら虫にやられました。

昔の庭は、
門を入って右側にシャリンバイの大きな木があり、
玄関へ向かう左側の
梅の幹を囲むように卯の花が群れて
その陰にスズランが咲いていました。

子どもの頃にまわりにあった草花、木は
思い入れが深く、
どこかで見かけると
思わず目がいってしまいます。

2013年5月1日水曜日

伊藤卓美 『初夏の花 木版画展』




















もう春というよりは
初夏を感じさせる日差しになってきました。
外では木陰を選んで歩くようになりました。
ツツジもそろそろ盛りを過ぎ、
ジャスミンの強い香りがしています。

BOOKS144では桜の季節に合わせて
『伊藤卓美 春の花木版画展』を開催しておりました。
春とともに『春の花 木版画展』が終わり、
そのまま『伊藤卓美 初夏の花 木版画展』が始まりました!

看板はまだそのまま(なんと準備の悪い!)ですが、
店内の木版画は
初夏から夏にかけての花の展示になりました。

雪ノ下、スズラン、卯の花、紫花菜、クチナシなど
今回も派手さのない花たちです。

今回は2点ご紹介します。
ひとつはシャリンバイ。
あちらこちらで咲いている
よく垣根などで目にする花です。

もうひとつは月桂樹の花。
月桂樹というとローリエの葉しか頭に浮かびませんが、
小さな黄色い花をたくさんつけます。
木版画作品「月桂樹花」は
額縁とぴったり合って、キラッとした小作品です。
入り口入って左側の壁にかかっていますので、
どうぞお見逃しないように。